心身の不調と呼吸の関係は、昔からよく言われていたことです。
これは、一体どういうことでしょうか?
肩こりや、腰や膝の痛みや身体の不調があると、その部分だけに気がいってしまいます。
しかし、事実は原因が呼吸にあるということは少なくありません。
例えば、膝の痛みがある方が呼吸をする際に横隔膜に問題があることがあります。
なぜならば、横隔膜は腰痛に付着しているので、呼吸のたびに横隔膜が不自然に腰痛を引っ張り続ければ、骨盤の形状や方向、状態が変化するので、腰に痛みがきてしまう事もあります。
そうなると、痛みのある腰をかばって姿勢が悪くなってしまって、他の身体の部位にも影響して、首や肩や腰の痛みにもつながってくるのです。
横隔膜が呼吸でうまく使えていないと、肩を使って呼吸をすることになってしまって、首こり、肩こりになってしまうこともあります。
ですので、呼吸が乱れると身体が不調となってしまうとされています。
呼吸が整うと元気になる3つの理由
・身体が整う
人間が1日に行う呼吸の回数は、約2万回です。起きている間も寝ている間も休む事なく動いているので、きちんと呼吸ができていないと、身体の不調につながることもあります。
例えば、肩こりや腰痛が治らないとか、疲れやすいというのは呼吸の仕方に問題があることが多いようです。呼吸が整うと身体の状態がよくなるので、元気になりやすいです。
・精神が整う
呼吸が精神に与える影響、科学的にも証明がされています。感覚的にも呼吸でリラックスができるということは皆さんも理解しているのではないでしょうか?
以下の様な論文も出てきています。
口呼吸はうつ病,認知症,注意欠陥多動障害などの精神疾患の誘因になるとい
われている.特に睡眠中の口呼吸はいびき症や閉塞性睡眠時無呼吸症(OSAS)の原因となる.わが国における OSAS の治療が必要な重症患者数が300万人を超えていると
推測されている.OSAS の原因は肥満がある.肥満をもたらす原因としては,食
文化の変化もあるが,日本人がほかの先進諸国に比べて,睡眠時間が最も少ない
ことが挙げられる.また,日本人の特有の顔貌も OSAS の原因の一つに挙げら
れる.OSAS は認知機能の低下をはじめとしたさまざまな精神障害を引き起こす
ことも知られている.肥満を引き起こさないための睡眠時間の十分な確保が重要
であると一般に周知していく必要がある.
鼻呼吸障害の精神に与える影響 久留米大学医学部 神経精神医学講座 橋爪 祐二 より転載
その他にも下記のような論文もありました。
私は精神科医で、本来の専門はうつ病やストレスの研究だが、三重大学の忍者研究に医学的な観点を加えようと、2015年から関わっている。 実際の忍者はフィクションの忍者像とは異なり、戦いを巧妙に避けていたという。敵の中にいて絶えず命の危険がある。ストレスに満ちた状況を、どうやって生き抜いたのか。忍者も人間。特別な休息の方法があるはずだ。 忍者の呼吸法には様々な種類があり、主なものは「二重ふたえ息吹」「息長おきなが」「逆腹式呼吸」である。このうち私は「息長」の効果を確かめることにした。 忍者は、短く割いた紙を鼻の頭に付け、これを長くなびかせる鍛錬を通じて息長を習得した。極めてゆっくりな呼吸で、自分の気配を消す忍びの仕事に有効だった。それ以上にストレスや不安を打ち消し、忍者の根本精神である不動心を生む効果があった
呼吸法「息長」で精神休息 小森照久・医学系研究科教授 より転載
例えば、緊張して場面で深い呼吸をすると、あれだけ緊張していたのが、簡単にリラックスしたということもあると思います。 忍者も己の気配を消す為に、呼吸法を独自にマスターしていたのは大変興味深いです。
自律神経が整ってくる
精神が整ってくると似ているのですが、自律神経が呼吸によって整ってくると、心臓をはじめとする内臓が正常に働いてきます。それによって身体も良い状態となっていきます。
現代人の問題点
現代人の多くは、息を吸う時間が長く、吐く力が弱いという問題を抱えている事が多いです。
息を吸う時間が長い人は、人間の活動を促進する交感神経が優位なります。
心身を休ませる副交感神経は抑制され、いつも緊張している状態です。そうすると身体に炎症が起こりやすくなって、痛みも感じやすくなってきてしまいます。
口呼吸は身体にダメージをもたらす
口呼吸はあらゆる健康リスクを招くのでやめたほうがいいです。
まず、免疫力が低下して、細菌やウィルスが体内に入りやすくなって、風邪や病気にかかりやすい体質になってしまいます。
口呼吸では横隔膜を十分に使えないために内臓の動きに影響を与えることができなくなります。また、鼻から分泌される一酸化窒素が身体に入らなくなります。
一酸化窒素には、人間の身体の血管拡張作用、分泌系、免疫系、生殖機能の向上など人間の健康に必要です。つまり口呼吸をしていると、免疫力や生殖機能の低下に加えて、心臓病や脳卒中のリスクも高まってしまいます。また、口呼吸によって舌が落ちて癖がついてしまって、気道が塞がれて狭くなるので、いびきや無呼吸など睡眠の質が著しく低下する原因になります。
参考にされてください。